教室で使う道具や技法の紹介を致します。

赤貝


器の底にも釉薬を残して焼成したい時にステルツ替わりに使用したり、わざと貝目(貝の跡)を景色として使いたい時に用います。

いっちん



スポイトの様な道具。液状粘土や釉薬をピンポイントに使いたい際に便利な道具です。場合によっては注射器を使う事もあります。

印花

素焼きや木製のスタンプで模様をつけ、後日粉引掛けなどをする技法です。スタンプもご自身でお作りになると面白いです。

埋め込み

正しい名称かわかりませんが、粘土パーツをローラー等で埋め込んで模様を作る技法です。

ガラス


ガラスを釉薬の上から載せて焼成する事も可能ですが、ご持参頂いたガラスと釉薬・粘土の相性を事前にテストする必要があります。この写真は生徒さんテストピースから。

クラフトパンチ


生徒さん作品(左写真)に青い化粧の装飾がしてありますが、これはクラフトパンチで作ったマスキングを使って、色違いの粘土を化粧した技法です。
教室でご用意しているクラフトパンチが右写真ですが、他にもいくつかあります。皆さんご自身でお買いになったクラフトパンチを使って頂いてももちろん構いません。ネットなどで色んな種類や模様の物が売っておりますので、お気に入りのを探してみて下さい。

コンプレッサー


釉薬を均等でなく、濃淡のグラデーションをつけたい場合に、コンプレッサーを用いて釉薬を吹き付ける方法です。室内では出来ない作業なので、天気を選びます。

右写真が完成した器で、こげ茶の部分が釉薬が薄い所で、緑色の所が濃いめに掛かっています。

サヤ

講師自作。何種類かの高さの物があります。炭化焼成などで窯の中に陶製の箱を組む必要がある際に使う道具です。

三角カッター

商品には「クレイカッタートライアングル」と書いてあります。

三角形にタタラなどを切り抜くのに便利な道具です。ランプシェードなどに良さそうです。

シッタ

徳利など、普通にひっくり返して固定出来ない作品を削る際に使う台の事をシッタと言います。一般的には素焼きや粘土の物を使いますが、教室では透明なタッパーを使っています。透明だと軸のブレが確認出来て良いのです!

ステルツ(とち)


写真は針が2本タイプですが、3本タイプが一般的。全面に釉薬を残して焼成したい場合に使う道具です。皆さんに自作頂きます(簡単に作れます)。

スパッタリング

絵画で良く使う技法ですが、釉薬や下絵具を刷毛やブラシ等で吹き付ける様にかける方法です。
釉薬掛けで使うと、薪窯で焼いた風合いに近づけます。

摺りガラス

上絵具を溶く作業に使う摺りガラスとガラス棒です。絵具を摺りながら粒子を細かくしつつ、溶剤(糊の一種)となじませる作業に使います。

スリップウェア

化粧土が半乾きのうちに、棒などで引っ掻いたり流したりする技法。化粧土生掛けが基本なので相当リスクある技法です。

石膏型

何かの形を粘土に置き替えたい時などに石膏で型を取って作ります。

ゼーゲル

窯焚きの際に窯の正確な温度を知る道具の一つ。窯のデジタル温度表示は正確でないので必需品です。手前が焼成前、奥のが焼成で使った物。ゼーゲルが倒れ始めたら目的温度になった合図です。


焼成中に窯の窓(耐火レンガ1個分)を抜いてゼーゲルを見ますが、炎の中にあるゼーゲルは肉眼でも結構見にくいです。どこにゼーゲルがあるか分かりますか?写真はまだゼーゲルが倒れ始める直前の状態です。この窓を開ける作業、軍手しても手はヤケドしそうな熱さです。

塑像台

塑像台

制作中に転倒しそうな像を作陶する際に使う仮設の支柱です。過去には直立の不動明王を作られた方の作陶に用いました。

私は大学こそ日本画出身ですが、高校の時は塑像を専攻していたのと、陶芸も元々はオブジェ制作から入った人間なので、像やオブジェ作陶のご指導も得意です。

チャンチン

チャンチン

本来はろうけつ染めで使う線引きの道具です。インドネシアのバティック(ろうけつ染め)修行で先生から購入。

釉薬を入れて使ってみたら、案外面白かったのでお試し下さい。写真の細い線は試しに板上に釉薬を引いてみました。

長石

垂れやすい灰釉
長石とその粉末

釉薬の主原料の一つ。石の粉末(右写真)で、石をポットミルで粉砕して細かくした物です。「左写真のテストピースの様に釉薬が流れやすい場合に長石の調合を増やすと、釉薬が流れにくく(溶けにくく)なります。

時計用アクリル板

講師自作。時計の文字盤位置を把握する際に使う道具です。

トースカン

器の高さを他の器と揃えたい時に使う道具です。トースカンの針先を1個目の器高さに合わせておけば、2個目以降の高台の高さをそれに合わせて削れば、器高さが揃います。教室には2種類のトースカンがあります。

トチ渋


トチ渋に付けている様子

右側がトチ渋で皮膜が取れた状態!


織部釉は釉薬成分に銅を含んでおります。焼成によって酸化銅のギラギラした被膜が器表面に出てしまいます。それを先人たちはトチ渋を用いて除去しておりました。右写真の右側がその効果が現れた所で、織部釉の本来の美しい緑になったのをお分かり頂けますでしょうか?

このトチ渋材料がドングリのへた(帽子)で作られた液体なんです!

サンポールでも代用出来ますが、化学薬品を食器に使うのって嫌ですよね。

トチ渋の販売もしております。ご希望の方はお問い合わせ下さい。

トチ渋染め

上記の酸化銅被膜除去以外に、器を染める時にも使います。少し骨董品風の落ち着いた表情にする事が出来ますが、粘土や釉薬を選びます。


左が染める前の状態。これを約2時間トチ渋に漬けた拡大が右写真。

撮影時の光源が違うので(左は曇りのベストな光源で撮影、右は晴れた日に撮影したので少し黄色味がかって写っています)比較しにくいかもですが、使い込まれた器に近い色合いに変化しています。

飛びカンナ

粉引した作品で使う事が多いですが、表面に連続した模様を付ける技法です。

トンボ

同じ大きさの器をロクロ成形する際に使う道具です。作りたい器直径と深さ寸法の1.1倍(1割収縮する粘土の場合)に作ったトンボで寸法を揃えて作陶します。トンボは割り箸と輪ゴムでも簡単にお作り頂けます。

灰釉

木を燃やした灰を精製した物で、これも釉薬主原料の一つ。これだけでも釉薬に出来なくはないですが、普通はこれに長石などを混ぜて調合します。これ以外に使っている灰やテストした灰は、桜・楠・梅・欅・樫・イヌシデ・エゴノキなど書ききれません。

はぜ石

粘土表面に「焼き上がると白く出る石の粒」を振りかけて装飾する時に使う石の粒です。タタラ作品に適していますが、ロクロでも出来なくはないです。

撥水剤

撥水剤と言っても、ウチには3種類の撥水剤があります。お使いになる目的やご用途によって使う物が違います。さらに場合によっては写っていないパラフィン蝋を撥水に使う事もあるので...

バネワイヤー

バネをビヨヨヨヨ~ンと伸ばした物。これでタタラを切るとこうなります。

緋だすき

稲わらを作品に巻き付けて焼成する技法です。稲わらが器に触れていた所がオレンジ色になります(藁に含まれるケイ素というガラス成分の影響を受ける)。

写真は窯出し直後の様子で、稲わらがほぼそのままの形で白く燃え残ります。食器の内側などには向きません。

ボイド管

円筒形の作品を簡単楽ちんに作りたい時に便利なボイド管(笑)。色んな直径がありますので、コップから傘立て・花器やランプシェードなど色々応用できます。

蛍焼き


穴に釉薬を埋めて焼成する技法です。器の厚さ・釉薬種類・穴の大きさによって出来るか否か決まります。もちろん水は漏れないので食器として使えます。

ポットミル

ポットミル
ポットミルの中身

釉薬材料等を細かく粉砕する機械です。それなりにうるさいので営業中は使えません。ポットミルの中に右写真の磁器の玉がたくさん入っていて、回転で玉と材料がぶつかり合って細かく粉砕していきます。

ポンス

急須の茶漉し

急須の茶漉し(写真)の穴を開ける道具です。

マスキング

紙や葉・テーブルクロスなどをマスキングとして使い、化粧(色違いの粘土の泥を塗って装飾)する方法があります。
写真は化粧後に葉のマスキングを剥がしている所です。

 


左写真はヤブガラシの葉(工房周辺で採取)、右は糸をマスキングに使った事例です。

マーブル粘土

右サンプルの様に2色の粘土でマーブル模様の作陶をされる際は、左の状態の粘土を最低限の菊練り回数で練りこみます。練って1週間程度寝かせて作陶した方が良いので、ご希望の方はご相談下さい。3色以上でも行けます!

釉掛けバサミ

釉薬掛けの際に、器に指跡を残したくない場合や、箸置きなどの小物の釉薬掛けに使う道具です。

ただ、これを使う事で器を壊す事もあったり、釉薬が振り払いにくかったりしますので、あくまで補助的な道具という感じです。


釉薬

主に長石などの石粉末6~7割に、精製した灰を3~4割混ぜた物。これにコバルトや鉄・銅などの着色金属類をチョイ混ぜたりもします。教室の松灰釉は赤松の灰100%など例外も勿論たくさんあります。

リトマス試験紙

皆さんがお使いになる事はまず無いですが、灰から釉薬を精製する際などに使います。市販釉薬よりアクを残しているので強アルカリで留めています。