当教室の放射能汚染に対する影響と対策

 福島第二原子力発電所事故の影響で、八王子周辺の樹木も放射能汚染を受けている事が分かりました。

環境省・文部科学省・厚生労働省・経済産業省・復興庁などをたらい回しにされたあげく、ようやく林野庁で私の欲しい回答に近い物を得ました。

 主に下記2つの規制が関係する様です。

・木炭は280ベクレル以下の商品しか流通してはいけない事

・食品に添加する灰は17都県の材料は自粛する様に

 

薪ストーブ灰から作る釉薬について

 薪は屋根のある薪小屋で保管しておりますが、横殴りの雨には当たります。震災直後の汚染された雨にも少し濡れた様で、検査の結果、当工房の薪灰からも300ベクレルの数値が検出されました。消却灰の基準としては8000ベクレル以下とあるので、その点は問題ないのですが、これから作った釉薬がどう健康に影響するか現時点では推測すら不可能な状況なのと、国の基準も事故から5年以上経っても未だに無い状態の様ですので、安全が確認されない以上、震災以後に焼却したストーブ灰は一切釉薬に使用しておりません。安全の確認方法が確立していない事と、通産省などは釉薬の残留放射能に関して動こうとしていないので、おそらくは震災以前に確保していた灰が無くなった時点で、西日本の灰を購入せざるを得ないと考えています。

 震災以前に焼却した灰のストックは一部(※)を除いて幸い工房用にまだ相当量確保してあります(灰の販売を予定していたので…)。雨の及ばない窯小屋にて袋詰めで保管してありますので、影響は無いものと考えております。(※)赤松の灰は使い切ってしまったので、現在西日本産の灰を購入をしております。

 

木炭について

 原発事故前は岩手県産の木炭を野焼きで使用していましたが、産地は県北部でむしろ八王子より福島第二原発から遠いとの事。検査結果も木炭の放射能基準値を下回った物しか流通していないはずなのと、元々県北部では事故直後でもセシウムはほとんど検出されていない様なので心配しすぎの様ですし、それこそ風評被害でしょうというのが林野庁担当者と木炭製造組合からの回答です。

 ただ、木炭の放射能基準値を下回った物だったとしても、結局灰になると高濃度に集約されるのと、野焼き焼成中にセシウムが気化したものを吸引している可能性は全く否定できないと私は推測しています。木炭に含まれる放射能の1割未満は熱で蒸発するとの事(下記実験参照)ですが、これもピザ窯など陶芸の焼成温度から比べたら相当低い温度で焼成した場合のデーターです。セシウムの気化する温度は670度程度。野焼きは一気に1300度以上の焼成をしておりますので、確実に相当量の気化したセシウムを私たちが吸引すると推測しております。このリスクを回避するために島根県産(楢炭)と東南アジア産(マングローブ炭)の木炭に既に切り替えています。

 

薪そのものの残留放射能について

 当方で検査した薪の灰(※)からは300ベクレル検出されましたが、これは林野庁の計算方法により、300÷182で薪1㎏辺りの放射能が計算出来るとの事。 つまり私の八王子産薪は1.6程度の値で、これは通常検査に出してもND(低すぎて測定不可能)になる値です。(現在薪は40ベクレル以下の物なら流通させて良いとの事です)。

 また、この実験(薪でピザを窯で焼く実験だったそうです)時の詳細データーから、薪のセシウム9割は灰になり、1.5%がピザに付着。残りがガスとなって排出されたと推測されるとの事ですが、残り1割が全て野外に排出される訳ではなく、相当量のセシウムが煙突で冷やされて再結晶化し、煙突内部のコールタールなどに付着したと推測されている模様です。(野焼きの場合は煙突が無いので、この1割のセシウムを焼成中の我々が吸引していると推測出来ます。)

 灰から300ベクレルという値は、薪としては全く支障ない範囲とのお話も頂きましたので、薪は現状のまま使用したいと考えております。

 参考までに東京都発表の樹木汚染状況の資料と、林野庁発表の資料リンク先です。

(※)原発事故以前に伐採・薪割りして、薪小屋に保管していたが、事故直後の汚染された横殴りの雨に若干濡れた程度の薪でも汚染されています。事故以降に伐採した薪からはそれ以上の放射能が検出されると推測しています。