八王子焼き 八王子の焼き物

秘かに復興を目指しています。私以外にやっている人いるんでしょうか(笑)?いらっしゃったら一緒に呑みたいですね!

八王子粘土の作品

 あまり知られていませんが、平安時代の八王子市みなみ野周辺は「御殿山窯(ごてんやまよう)」と呼ばれた当時の大窯業地だったとの事。もちろん良質の粘土もあります。ただし信楽や瀬戸の様に豊富な粘土層ではなく、割と貧弱(粘土層が薄い)なので掘削には苦労します。

 今でも粘土が出る現場は多く、どの窯元にも無い様な独特の風合いの器が焼き上がる粘土なんですよ(上写真は八王子粘土作品)。

粘土層
ひたすら掘ります。固い!!

 左写真の様な粘土層の分厚い現場は希で、大抵は右の写真の様な現場が多く、私の腰辺りの高さ(掘っている所)以外は使い物になりません。

収縮と耐火度テストピース
釉薬テストピース

 掘削した粘土はまず窯に聞いてみます(テスト焼成)。左写真は掘った場所ごとに耐火度と収縮率を調べます。焼成に支障ないと判断すれば、今度は釉薬テスト(右写真)。しかしこういうテストは現場が当分掘削可能な場合にのみ出来る事で、通常は工期の関係で「今週中なら掘らせてあげる」って現場が多いので、テストの暇はありません(苦笑)。

 八王子じゅうの粘土を掘りまくっているので、今ではどの辺りのどんな粘土だったら、どういう焼き上がりになるか概ね分かる様になりました。

 八王子の粘土は個性ある釉薬を掛けても、どれも似た様な焼き上がり結果になってしまいますし、単身での作陶は相当技術のある方でないと難しい粘土です。

 通常の焼成では面白く無いので、粘土に合わせて焼成温度や焼成方法を変えて、八王子粘土の良さを最大限に引き出すやり方を探してあげると、八王子粘土はとっても個性的ですばらしい作品に焼き上がってくれます。そういった意味で、陶芸は土を始め材料から教わる事が多いと私は思っています。

八王子粘土の茶碗
八王子粘土の徳利

 八王子焼きの作品です。もちろん日用の食器として充分使えます。

皆さんも是非、八王子の粘土を探してみて下さい。どこかの現場でお逢いしましょう(笑)。

八王子の地質図

八王子粘土の資料

(左)みなみ野で発掘調査された窯などの資料本。工房で閲覧可能です。

(右)昭和7年作成の八王子の地質図。地表の地質を色分けで表示していいて、薄緑色が「砂粘土及礫」つまり粘土が地表に露出している所です。赤印が工房の場所で近所も粘土質の表記になっています。

求む!八王子粘土!!

山を掘削する造成業者様、工務店様へ

 もし八王子で粘土のある現場を現在(あるいはこれから)掘削工事中でしたら、是非ご一報下さい。

 私が欲しい粘土が出る現場でしたら、是非掘らせて下さい。日本酒一升瓶程度のお礼しか出来ませんが、工事・工期の支障にならなければ、ヘルメットかぶって伺います。

 粘土なら何でも良い訳ではありません。もう充分通常のストックは持っていますが、どうしても出会いたい種類の粘土があるので、せっかく伺っても希望の粘土で無かった際はごめんなさい。